こんにちは

代表の冨永です。

小劇場に出ている役者さんは「俳優一本で食べれるようになりたい」と思っている人が多いと思います。

私も昔はそう思っていましたし、そう思うからこそ、演技レッスンを受け、オーディションを受け、定職にはつかず、いつでも芸能活動にシフトできるよう、融通の利く仕事を見つけ、条件に合わなければ仕事先を変える…

を繰り返していました。

ちなみに、30年も前の話しです。

ですが、芸能を職業にするって相変わらず狭き門ですよね?仕組みはほとんど変わっていないのではありませんか?

今日は「俳優一本で食べれるようになりたい」と思っている人に、その考え方があなたにとって本当に正しいのかどうなのか?

そんなことを今一度考えていただくお話です。

その程度ならやめておけ!演劇を続けるには覚悟が必要という実例

舞台出演で生活できるようになりたい!

そんな風に思っている小劇場の役者さんはたくさんいますよね?

先日、キャリア20年の方がご自身の過去の体験をつづっていらっしゃる文章を見つけたのですが、

今は無き人気劇団に所属していらっしゃったその方は、1公演の動員数5,000人の劇団にいたにも拘わらず、ノーギャラだったそうです。

このブログでもご紹介させていただいている劇団新感線のプロデューサー細川展裕さんの著書「演劇プロデューサーという仕事」にも書かれているのですが、あの新感線でさえ、劇団員への初のギャラは結成から19年後だったという驚きの事実!

これはさすがに私もびっくりしました。

旗揚げから19年間ノーギャラ!大学を出て22歳で就職した若者が41歳のオッサンになるころにやっと給料が。

新感線でさえそうなのですから、これが演劇を続けていくための覚悟、現実ということなのです。

なぜ私がこんな話をするのかと言うと、劇団が数年で活動停止してしまう理由や、小劇場俳優が演劇を辞めてしまう一番の理由が結局

食えない

だからです。

こういった事実を先に知っていれば、そんなの今さらではありませんか?

演劇ほどコスパの悪いものはありません。

誰かが悪事を働いて一人儲けているわけでは無く、そもそもがコスパが悪いのです。

普通に生活をしていても、余裕を持って生活をしようとしたら、最低でも収入の4分の1くらいに家賃は抑えるべきではありませんか?

光熱費、食費、消耗品…

どんなに頑張ってもかかってしまう生活費と同じように、舞台を作ろうとするとそれだけでかかってしまうお金が演劇はハンパないわけです。

裏方さんはお金を払わないと動いて下さらないので(仕事なので当然ですが)、結果そのツケが役者に回り、ほとんどノーギャラ、チケットノルマを強いた上でのチケバ制(これをかろうじてギャラと言う)

この仕組みはもう本当に変わりません。

変えようと思ったら、脈々と続く今までの流れとは全く違った発想で、キャッシュポイントを作る方法を考え出さない限り無理!

一昔前は手に入れられなかった情報も今はこんなに丁寧な解説を自分で見つけることができる。漠然と未来を考えていては無理を数字で感じて欲しい。

そういうことを昔は公に得られる情報が無かったですが、今は検索するといろいろと出てきます。

【参考記事】
カンパニーを法人化して「演劇だけで食えるようにする」にはどれだけ稼いで動員すればいいのか、具体的にシミュレーションしてみた

小劇場の演劇が食べていける(かもしれない)方法をまとめてみた

なのに、数年活動して「食えないから辞める」というのはあまりに短絡的な気がするのですが、どうでしょうか?

演劇は素晴らしい精神文化。けれど、職業にするなら受け身では絶対にダメ!

演劇をやるということはとても素晴らしいことです。

それで食べていこうと思わずに、ライフワークとして続けている人はたくさんいますね。

学校教育に演劇が科目として導入される日を私は待ち望んでいます。

企業にも演劇を使った研修ってもっと導入されるべきですし、その延長線上で社会人演劇が増えるのは本当にウェルカムです。

そして、そこまでいかなくても演劇のWSに参加する人など、演劇に携わる人はどんどん増えるべきだと思っています。

”演劇”というワードを聞いて、どんなものか連想ができない…この壁をいつまでも越えられないから、演劇需要は伸びません。

演劇はやれば単純に楽しいですし、今日本の一番の問題とされているコミュニケーション能力アップや感情開放して自分の意見をしっかりと伝えるための訓練など、人の思考、感情面に良い影響を与えるツールだからです。

だからこそ、演劇を普及させる活動はどんどん広がっていくべきだと思っていますし、私も協会以外にもそういった活動をしています。

WSで講師をやったら、ボランティアではなく正当な報酬が支払われるのが当然という社会的認知がもっとできれば、どんなにいいかと思いますし、演劇を企業のイベントやブランディング作り、広報活動なんかに活かせるようになると、もっともっと演劇が身近になり、文化になり、観劇人口を少しでも増やせるのでは無いか?とも思っています。

ですが、そういった社会に提供する演劇を考えずに、ただただ小さな舞台に立ち続け、いつかビックになってやる!みたいな考え方ははっきり言って、ビックになれる根拠がありません。

前述で参考記事にさせていただいたflingeさんの記事を抜粋すると、

机上だけのシミュレーションだが、劇団員8名のカンパニーを法人化して、全員に30代前半の平均民間給与と福利厚生を実現するには、中劇場で有料動員4,800名の公演を年2回成功させる力が必要という結果になった。料金は公演以外の収入を控えめにすると、どうしても6,000円になる。決して容易ではないが、絶対に不可能とか、途方もない数字というわけではないと思う。

と書いていらっしゃいますが、中劇場で4,800名の公演を年2回

ここに行きつける劇団はそうそうでないわけです。

冒頭でご紹介した俳優さんも、自身の劇団からはノーギャラだったため、客演でギャラを貰っていらっしゃったそうですが、1ステージ1万円貰える劇団はどれくらいあるでしょうか?

10ステージやっても10万円です。

稽古期間はノーギャラですし、それでもやりたいなら、そこにあなたが呼ばれるようになるために、あなたがやらなければならないことはたくさんあるはずです。

それだけでもまあまあ狭き門ではありませんか?

ライバルは役者志望者だけではない。大勢の中からあなたが選ばれる理由を常に用意しないといけないんです。

さらに、役者は誰でもできますね。

俳優を目指している人でなくてもできるんです。

例えば、お笑い芸人さん。

お笑いって絶妙な間とか、見せ方とか、表現力って言う意味では俳優よりも難しいのでは無いでしょうか?

モデルから転身する方もたくさんいて、ドラマだって映画だって、オールキャスト純粋な俳優しか出ていませんというのはほぼ無いからです。

それくらい、たくさんの才能のある人たちがしのぎを削って仕事を取りに行っている中で、受け身で舞台をやっていてもそれが職業になるということは考え難いとは思いませんか?

20代、30代という若い時代だからこそ自由に自分の時間、人生を費やすことにとやかく言いたいのではありません。

けれど、数年頑張って辞める理由が「食えない」なら、最初から目指してはいけないのが、今の演劇界です。

 

現実をお話していると悲しいことばかりになってしまうのですが、小劇場とはそういう場所です。

だからこそ、手売り集客からいかに早く脱却し、あなた自身にファンをつけ、劇団自体にもファンをつけ、知り合いでは無い人を1人でも多くお客様にしていくことを考えねばならないのです。

 

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舞台に立つことに情熱を向けるだけでは、食える俳優にはなれません。

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